
「早稲田大学 留年率」「慶應 留年率」といったキーワードで検索すると、大学名ごとの一覧やランキングをうたうサイトを目にすることがあります。しかし結論からお伝えすると、早稲田・慶應・中央・法政・同志社・立命館という難関私立大学6校を横並びで比較できる公式な「留年率ランキング」は存在しません。各大学が独自の方法で、独自のタイミングに、独自の項目名で教育情報を公表しているため、単純に数字だけを並べて比較すると誤った印象を与えてしまう可能性があります。
とはいえ、まったく手がかりがないわけではありません。多くの大学は学校教育法施行規則にもとづき、在籍学生数・留年者数・退学者数、あるいは標準修業年限内卒業率といった数値を公式サイトの「教育情報の公表」ページや大学ポートレートで開示しています。この記事では、2026年8月時点で編集部が各大学の公式サイトを直接確認できた範囲の数値だけを使い、中央大学・法政大学・同志社大学・立命館大学については学部別の具体的な公式データを、早稲田大学・慶應義塾大学については公表状況と数値の探し方を、それぞれ整理しました。憶測や出典不明の数字は一切使っていません。
あわせて、なぜ大学によって公表される「留年率」の意味や桁がまったく異なるのか、その構造的な理由と、進級要件の一般的な考え方、留年を避けるための現実的な対策までを、単位・進級サポートの専門家の立場から解説します。

詳細は本文で解説しますが、まず結論だけ知りたい方のために要点をまとめます。
個別の大学の数字を見る前に、まず「留年率」という言葉そのものが抱える構造的な問題を整理しておきます。ここを理解しておかないと、この後に紹介する数字を正しく読み取ることができません。
今回、編集部が中央大学・法政大学・同志社大学・立命館大学の公式データを確認したところ、同じ「留年率」という言葉でも、実際には2種類のまったく異なる算出方法が使われていることがわかりました。
| 算出方法 | 内容 | 数字の特徴 | 今回確認できた採用大学 |
|---|---|---|---|
| 年次スナップショット方式 | ある年度の5月1日時点で在籍している学生のうち、進級できず同じ学年にとどまっている(原級留置となっている)学生の割合 | 1年間だけを切り取った数字のため、比較的小さい値(数%程度)になりやすい | 同志社大学、立命館大学、中央大学(年次データの方) |
| コホート追跡方式(修業年限内卒業率) | ある年度に入学した学生集団(コホート)を追跡し、標準修業年限(4年制なら4年)で卒業できなかった学生の割合 | 在学期間全体を通じた累積的な数字のため、年次スナップショットより大きい値になりやすい | 中央大学(卒業率データの方)、法政大学 |
実際に中央大学は、この2種類のデータを両方とも公式サイトで公表しています。2021年度入学者を対象としたコホート追跡方式では全学部合計の留年率が12.1%だったのに対し、2022〜2024年度の年次スナップショット方式では全学部合計の留年率が2.5%〜2.8%にとどまっています。同じ大学の同じ「留年率」という言葉でも、算出方法が違うだけで数字が4〜5倍も変わることがわかります。つまり、「A大学は留年率2%だからB大学(留年率12%)より優れている」といった単純な比較は、算出方法をそろえない限り成立しないのです。
このため本記事では、大学ごとにどちらの方式でデータが公表されているかを明記したうえで数値を紹介します。異なる方式の数字同士を直接比較しないよう、読み進める際にもご注意ください。
文部科学省は毎年「学校基本調査」を実施し、大学の中途退学者数・休学者数などを公表していますが、「留年(原級留置)」を独立した全国統計として横断的に集計・公表してはいません。留年は退学や休学と違って学籍の異動を伴わないため、全国規模での集計の仕組みがそもそも整っていないという事情があります。大学の留年率がどれくらいか、全国データを含めて詳しく知りたい方は、留年率データの基礎を解説した記事もあわせてご覧ください。
結果として、「留年率が高い大学ランキング」のような記事や動画で紹介される数字の多くは、算出方法や出典が明記されていない、根拠の弱い情報である可能性があります。本記事で紹介する数字は、すべて各大学の公式サイトに掲載されているPDF資料、または独立行政法人・大学改革支援学位授与機構が運営する大学ポートレートで直接確認できたものに限定しています。
文部科学省が毎年公表している学校基本調査によれば、大学の中途退学率は2.00%(50,516人)、休学率は2.70%(68,239人)という数字が確認されています(直近の調査結果、詳しくは大学の留年率データを扱った記事で解説しています)。 ただし、この調査は退学・休学を対象としたものであり、留年(原級留置)そのものを独立した全国統計として公表しているわけではありません。今回本記事で紹介する中央大学・法政大学・同志社大学・立命館大学の学部別データは、あくまで各大学が個別に公表している資料であり、全国平均と単純に比較できる性質のものではない点にご留意ください。
大学は学校教育法施行規則にもとづき、教育研究活動等の状況に関する情報(教育情報)を公表することが求められています。多くの大学は公式サイトに「教育情報の公表」「情報の公表」といった名称のページを設けており、その中に「在籍学生数」「留年者数」「退学者数」「標準修業年限内卒業率」といった項目が掲載されています。大学名と「教育情報の公表」で検索すると見つけやすいでしょう。学部ごとに数値が分かれて公表されている大学もあれば、大学全体の数値のみの大学もあり、開示の粒度は大学によって差があります。
もう一つの調べ方が、大学ポートレートです。国立大学向けの「大学ポートレート」と、私立大学向けの「大学ポートレート(私学版)」があり、いずれも学生数などの基本情報を大学横断で検索できます。ただし、大学ポートレートに掲載されている情報の詳しさも大学によって差があり、留年率まで詳細に確認できる大学と、学生数などの基本情報にとどまる大学があります。
実際に自分(またはお子さん)の大学・学部の数字を調べたい場合は、次の順番で確認していくと効率的です。
今回の調査でも、早稲田大学・慶應義塾大学のように「学生数や退学率の一部は確認できても、学部別の留年率をそのまま読み取れる資料は特定できなかった」というケースがありました。これは大学が情報を隠しているというより、公表項目や様式が大学ごとに異なるために起こる現象です。次の章で、早稲田大学・慶應義塾大学について実際に確認できた内容を詳しくお伝えします。
まず、検索需要が特に大きい早稲田大学と慶應義塾大学について、編集部が公式サイト・大学ポートレートを確認した結果を正直にお伝えします。
早稲田大学は公式サイトに「学生に関する情報」というページを設けており、退学率などの一部の指標については具体的な数値を確認できます。たとえば、2021年4月学部入学者のうち、2025年3月までに退学した学生の割合は2.8%と公表されています。また、在籍学生数や卒業・修了者数についても、年度ごとの集計データへのリンクが用意されています。
しかし、編集部がページ本文および公開されているリンク先を確認した範囲では、他大学のような「学部別の留年率」または「標準修業年限内卒業率」を単純な一覧表として読み取れる資料は特定できませんでした。詳細データの一部はオンラインストレージ経由でExcel形式やPDF形式で提供される形式になっており、本記事の執筆時点で学部別の留年率を具体的な数値として確認することはできませんでした。
早稲田大学の公式サイトには、卒業・修了者数や在籍学生数を年度別に集計したリンクも複数用意されていますが、いずれもオンラインストレージで配布されるExcel・PDFファイル単位の提供となっており、ページ本文を読むだけでは学部ごとの留年率・卒業率を横断的に比較することができませんでした。ファイル自体は年度ごとに更新されているとみられるため、正確な最新値が必要な場合は、これらのリンク先を大学公式サイトで直接ご確認ください。
早稲田大学の学部・学科別の最新の留年率を確認したい場合は、大学公式サイトの「学生に関する情報」ページ、または大学ポートレート(私学版)の該当ページを直接ご確認ください。数値が更新・追加されている可能性があります。
慶應義塾大学は「情報公開」ページで、学部生の在籍者数(2024年時点で31,609人、大学ポートレート私学版で確認)や、学部・学年別の留年者数を毎年「KEIO HANDBOOK」という資料で公表しています。この資料には、たとえば2024年度の文学部で1学年46名・2学年102名・3学年82名・4学年165名が留年者としてカウントされている、といった非常に詳細な実数データが学部ごと・学年ごとに掲載されています。同資料で確認できた2024年度の学部別留年者数(1〜6学年の合計、実数)は次のとおりです。
| 学部 | 2024年度 留年者数(1〜6学年合計、実数) |
|---|---|
| 文学部 | 412人 |
| 経済学部 | 511人 |
| 医学部 | 15人 |
| 理工学部 | 293人 |
| 看護医療学部 | 15人 |
| 薬学部 | 49人 |
法学部・商学部・総合政策学部・環境情報学部については、資料内で別の集計方式(入学年度別に「4学期間在籍して1・2学年に留まっている者」「8学期間在籍して卒業に至らなかった者」を追跡する方式)が使われており、上記の表と単純に並べることができないため、ここでは割愛しています。
ただし、この資料は留年者の実数(人数)を学年別に積み上げる形式であり、学部ごとの在籍学生総数と単純に割り算しただけでは、他大学が公表しているような「留年率」と同じ意味の数字にはなりません。慶應義塾大学の学部生総数31,609人はあくまで大学全体の数字であり、学部ごとの正確な在籍者数を突き合わせないまま実数を割り算すると、実態と異なる比率を算出してしまうリスクがあります。また、法学部・総合政策学部・環境情報学部のようにセメスター制のもとで「復活制度」(一時的に留年状態になっても、その後の成績次第で進級が認められる仕組み)を取り入れている学部もあり、学年ごとの留年者数の集計に独自の注記が付されています。誤った計算にもとづく数字を掲載することは避けるべきと判断し、本記事では慶應義塾大学の学部別留年率(%)を数値として示すことは控えました。
慶應義塾大学の学部・学年別の詳細な留年者数を確認したい方は、公式サイトの「情報公開」ページに掲載されている「留年者数」のPDF資料を直接ご覧いただくことをおすすめします。学部ごとの在籍学生数もあわせて公表されているため、自分の学部・学年に近い集団の状況を具体的に把握する手がかりになります。
このように、同じ「教育情報の公表」でも、大学によって開示される項目・粒度・様式は大きく異なります。次の章からは、編集部が学部別の留年率を具体的な数値として確認できた4大学(中央・法政・同志社・立命館)のデータを詳しく見ていきます。
中央大学と法政大学は、いずれも「ある年度に入学した学生集団(コホート)が、標準修業年限で卒業できたかどうか」を追跡するコホート追跡方式のデータを公表しています。入学から卒業までの過程全体を反映した数字であるため、比較的高めの数字になる点をあらかじめ押さえておいてください。
中央大学は公式サイトの「情報の公表」ページで、2021年度入学者を対象とした「修業年限内卒業率(学部)」を学部別に公表しています。
| 学部 | 2021年度入学者数 | 修業年限内卒業率 | 留年率 | 修業年限内退学率 |
|---|---|---|---|---|
| 法学部 | 1,477人 | 85.6% | 11.2% | 3.2% |
| 経済学部 | 1,024人 | 88.3% | 10.2% | 1.6% |
| 商学部 | 975人 | 82.3% | 14.2% | 3.6% |
| 理工学部 | 932人 | 83.3% | 12.2% | 4.5% |
| 文学部 | 1,026人 | 85.6% | 11.0% | 3.4% |
| 総合政策学部 | 300人 | 86.7% | 10.7% | 2.7% |
| 国際経営学部 | 302人 | 72.5% | 21.2% | 6.3% |
| 国際情報学部 | 149人 | 83.2% | 10.7% | 6.0% |
| 総計 | 6,185人 | 84.5% | 12.1% | 3.4% |
この表からわかるのは、同じ中央大学でも学部によって留年率が10.2%から21.2%まで、2倍以上の開きがあるということです。特に国際経営学部は他学部より留年率・退学率がともに高めで、修業年限内卒業率は72.5%にとどまっています。一方、経済学部は留年率10.2%と学部の中では最も低い水準です。「中央大学の留年率」という一言でくくるのではなく、志望する(在籍する)学部の数字を個別に確認する必要があることが、公式データからも裏付けられます。
なお中央大学は、この2021年度入学者を対象としたコホート追跡方式のデータとは別に、2022〜2024年度の各年5月1日時点の在籍学生数をもとにした年次スナップショット方式のデータも公表しています。こちらは学士課程合計で2022年度2.5%、2023年度2.7%、2024年度2.8%と、コホート追跡方式(12.1%)よりかなり小さい数字になっています。前章で説明した「算出方法の違い」が、同じ大学の中でも如実に表れている例です。
法政大学も公式サイトの「修学上の情報」ページで、2022年度入学者を対象とした「修業年限内卒業率・留年率・退学率等」を学部別に公表しています(2026年5月1日時点の集計)。
| 学部 | 2022年度入学者数 | 修業年限内卒業率 | 留年率 | 修業年限内退学率 |
|---|---|---|---|---|
| 法学部 | 849人 | 85.7% | 12.1% | 1.8% |
| 文学部 | 689人 | 81.9% | 15.5% | 2.2% |
| 経済学部 | 917人 | 81.6% | 15.7% | 2.0% |
| 社会学部 | 792人 | 84.0% | 13.9% | 1.9% |
| 経営学部 | 765人 | 82.9% | 14.4% | 2.4% |
| 国際文化学部 | 259人 | 85.7% | 12.4% | 1.5% |
| 人間環境学部 | 341人 | 85.0% | 13.8% | 0.6% |
| 現代福祉学部 | 246人 | 83.7% | 13.4% | 2.4% |
| 情報科学部 | 160人 | 82.5% | 13.1% | 2.5% |
| キャリアデザイン学部 | 311人 | 82.3% | 17.0% | 0.0% |
| デザイン工学部 | 301人 | 87.4% | 8.3% | 2.7% |
| 理工学部 | 572人 | 84.8% | 11.5% | 3.0% |
| 生命科学部 | 228人 | 84.2% | 8.8% | 7.0% |
| グローバル教養学部 | 103人 | 62.1% | 28.2% | 8.7% |
| スポーツ健康学部 | 182人 | 89.0% | 8.8% | 1.6% |
| 合計 | 6,715人 | 83.6% | 13.6% | 2.2% |
法政大学のデータでも、デザイン工学部・スポーツ健康学部・生命科学部の留年率が8%台である一方、グローバル教養学部は28.2%と際立って高い数字になっています。グローバル教養学部は英語による授業や留学プログラムを前提とした少人数のカリキュラムであることが知られており、留学にともなう修業年限の延長が数字に反映されている可能性がありますが、この点について大学が公表資料の中で明示的に理由を説明しているわけではないため、断定は避けます。いずれにせよ、法政大学全体で見ても学部間の差は最大20ポイント近くに達しており、「法政大学は留年率◯%」という一言でまとめることの危うさが、公式データからはっきり読み取れます。
中央大学の表をあらためて見ると、商学部(留年率14.2%)は同じ中央大学の経済学部(10.2%)より4ポイント高く、理工学部(12.2%)も文系学部の平均よりやや高めの水準です。卒業に必要な単位数の考え方そのものを詳しく知りたい方は、卒業単位数を解説した記事もあわせてご覧ください。 学部によって必修科目の配置や卒業要件の組み方が異なるため、同じ大学の中でも「どの学部にどれだけの学生が在籍しているか」によって、大学全体の平均値の見え方も変わってきます。中央大学の場合、在籍者数が最も多いのは文学部・法学部クラスの学部であり、これらの学部の数字が全体平均に与える影響も大きくなります。

同志社大学と立命館大学は、いずれも「ある年度の5月1日時点で在籍している学生のうち、何人が留年者としてカウントされているか」という年次スナップショット方式でデータを公表しています。前章の中央大学・法政大学のコホート追跡方式とは算出の考え方が異なるため、数字の桁を単純に比較しないようご注意ください。
同志社大学は「同志社大学基礎データ集」という公式資料の中で、学部・学科別の在籍学生数・留年者数・退学者数を毎年公表しています。2025年度版のデータ(2025年5月1日時点)によると、学士課程全体の留年率は次のとおりです。
| 年度 | 在籍学生数 | 留年者数 | 留年率 | 退学者数 | 退学率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年度 | 25,870人 | 1,259人 | 4.9% | 315人 | 1.2% |
| 2023年度 | 26,166人 | 1,229人 | 4.7% | 305人 | 1.2% |
| 2024年度 | 26,514人 | 1,283人 | 4.8% | 288人 | 1.1% |
3年間を通じて留年率は4.7%〜4.9%の範囲で安定しており、大きな変動は見られません。学部別のデータも同資料に掲載されており、たとえばグローバル地域文化学部では2022年度7.7%、2023年度10.2%、2024年度9.3%と、学士課程全体の平均よりやや高めの水準で推移しています。同志社大学は学部・学科を非常に細かい単位まで分けて公表しているため、志望学部・在籍学部の数値を具体的に知りたい場合は、公式サイトの「同志社大学基礎データ集」から該当年度・該当学部のページを確認することをおすすめします。
同志社大学の基礎データ集は、留年者数・退学者数だけでなく、学部・学科ごとの在籍学生数の推移も年度別に一覧化されており、神学部・文学部・社会学部・法学部・経済学部・商学部・政策学部・文化情報学部・理工学部・生命医科学部・スポーツ健康科学部・心理学部・グローバル・コミュニケーション学部・グローバル地域文化学部という、幅広い学部構成の中でそれぞれの数字を追える点が特徴です。学部の性格が大きく異なる大学ほど、全学平均だけを見るのではなく、学部別のページまで掘り下げて確認する価値が大きいといえます。
立命館大学も「大学基礎データ」という公式資料で、学部・学科別の在籍学生数・留年者数・退学者数を毎年公表しています。2025年度版のデータによると、学士課程全体の留年率は次のとおりです。
| 年度 | 在籍学生数 | 留年者数 | 留年率 |
|---|---|---|---|
| 2022年度 | 33,063人 | 840人 | 2.5% |
| 2023年度 | 34,070人 | 804人 | 2.4% |
| 2024年度 | 34,584人 | 785人 | 2.3% |
立命館大学の資料には学部別の内訳も詳しく掲載されており、2024年度の留年率は学部によって1.2%(政策科学部)から3.8%(情報理工学部)まで幅があります。逆に政策科学部・国際関係学部・映像学部・生命科学部・スポーツ健康科学部などは軒並み1%台にとどまっており、学部によって進級のハードルの高さがかなり異なることがうかがえます。
特に注目したいのが、立命館大学の資料には学部ごとに「原級留置制の有無・概要」という注記欄が設けられている点です。今回確認できた範囲では、次の2学部が具体的な原級留置制度(定められた単位数の基準を満たさないと進級できない仕組み)を明記していました。
| 学部・学科 | 原級留置制度の内容(公式資料の記載) |
|---|---|
| 情報理工学部 情報理工学科 | 原級留置あり。2年次終了時点で学部が定める卒業に必要な単位数を修得しなければ、3年次に進級できない。 |
| 薬学部 薬学科 | 原級留置あり。2年次終了時点、3年次終了時点、4年次終了時点で、それぞれ卒業に必要な単位数の基準、学部の定める科目履修の条件をクリアしなければ進級できない。 |
これら以外の学部は、公式資料の同じ欄に「なし」と明記されています。つまり、進級要件として明文化された単位数の基準(原級留置制度)を設けているかどうかは学部によって異なり、これも留年率の差に影響している可能性がある要因の一つです。「なし」と書かれている学部でも、卒業要件そのものは当然存在するため、原級留置制度がないからといって単位管理が不要という意味ではない点にはご注意ください。
なお、立命館大学の資料では「留年者数」に加えて「当該年度退学者数」も学部・学科ごとに公表されており、備考欄には退学者のうち何名が特定の月に手続きを行ったかまで記載されている年度もあります。ここまで細かい粒度で情報を公開している大学は珍しく、自分の志望学部・在籍学部について具体的な傾向を知りたい場合は、大学基礎データのPDFを直接確認する価値が大きいといえます。
なお、立命館大学の公表資料には「留年者数は、修業年限を超えている者の数(休学をした者および長期履修制度適用者を除く)とした」という注記が付されています。休学による在学延長を留年としてカウントしていない点は、他大学の資料を読む際にも共通して注意すべきポイントです。休学と留年は制度上まったく別のものであり、公表資料によってどちらを含めているかが異なる場合があります。
ここまで紹介した4大学の学士課程合計の留年率を、算出方法の違いを明記したうえで並べておきます。
| 大学 | 算出方法 | 対象 | 留年率(全学部合計) |
|---|---|---|---|
| 中央大学 | コホート追跡方式 | 2021年度入学者 | 12.1% |
| 中央大学 | 年次スナップショット方式 | 2024年度在籍者 | 2.8% |
| 法政大学 | コホート追跡方式 | 2022年度入学者 | 13.6% |
| 同志社大学 | 年次スナップショット方式 | 2024年度在籍者 | 4.8% |
| 立命館大学 | 年次スナップショット方式 | 2024年度在籍者 | 2.3% |
この表を見ると、コホート追跡方式の中央大学・法政大学が12〜14%程度、年次スナップショット方式の同志社大学・立命館大学が2〜5%程度と、算出方法ごとにきれいにグルーピングされていることがわかります。もし法政大学(コホート追跡方式・13.6%)と立命館大学(年次スナップショット方式・2.3%)だけを見て「法政大学の方が留年率が6倍も高い」と結論づけてしまうと、算出方法の違いを無視した誤った比較になってしまいます。数字を見るときは、必ず「どの方式で、いつの時点のデータか」をセットで確認する習慣をつけてください。
あわせて、今回の調査で在籍学生数(学士課程合計)を確認できた大学の規模感も参考として紹介します。数字の桁が大学によって異なるため、留年者数の「実数」だけを見て多い・少ないと判断しないよう、あわせて確認しておくとよいでしょう。
| 大学 | 学士課程在籍学生数 | 対象年度 |
|---|---|---|
| 立命館大学 | 34,584人 | 2024年度 |
| 慶應義塾大学 | 31,609人 | 2024年 |
| 中央大学 | 26,669人 | 2024年度 |
| 同志社大学 | 26,514人 | 2024年度 |
いずれも学部・学科数の多い総合大学であり、在籍学生数は2万5千人を超えます。早稲田大学・法政大学についても同規模かそれ以上の在籍学生数を抱えていると推測されますが、本記事で確認できた資料の中に学士課程全体の在籍学生数を明記した箇所がなかったため、ここでは掲載を見送りました。
また、中央大学・法政大学の表を見比べると、修業年限内退学率(標準年限のうちに退学した学生の割合)にも学部差があることがわかります。中央大学は国際経営学部が6.3%と他学部より高く、法政大学ではグローバル教養学部が8.7%、生命科学部が7.0%と、いずれも留年率が高い学部で退学率も同時に高くなる傾向がうかがえます。留年率だけでなく退学率もあわせて確認することで、「進級はできているが卒業までに時間がかかる学部」なのか、「そもそも学び続けること自体が難しくなりやすい学部」なのか、より立体的に状況を把握できます。
ここまでの公式データからも明らかなように、同じ大学の中でも学部・学科によって留年率の傾向は大きく異なります。その背景には、大学ごと・学部ごとに異なる進級要件の仕組みがあります。
難関私立大学に限らず、多くの大学の進級・卒業要件には、次のような仕組みが組み込まれています。大学・学部によって呼び方や運用は異なりますが、一般的な考え方として押さえておくと、自分の状況を理解しやすくなります。
| 仕組み | 一般的な内容 |
|---|---|
| 必修科目・卒業必要単位数 | 学部が指定する必修科目の単位を落とすと、その科目に代わる単位を他で補うことができず、再履修が必要になることが多い |
| CAP制(履修登録単位数の上限) | 1学期・1年間に登録できる単位数の上限を定める制度。上限を超えて多くの科目を一度に履修することができないため、計画的な履修が必要になる |
| 進級判定・原級留置制度 | 特定の学年末までに一定の単位数・GPA等の基準を満たさないと、次の学年に進級できない(同じ学年にとどまる)制度。理工系・医療系・情報系の学部で明記されているケースが目立つ |
| GPA制度 | 成績評価の平均値。多くの大学では進級・卒業要件そのものに直結しないケースが一般的ですが、一部の学部・プログラムでは進級要件や特定コースの選考条件としてGPAを用いている場合があります |
CAP制については、大学・学部によって上限の設定単位数は異なりますが、1学期あたり20単位前後、1年間あたり40〜50単位前後を上限とする大学が多いとされます。上限を超えて履修することは原則できないため、「苦手科目を後回しにして得意科目だけを固めておく」という履修計画は取りにくい設計になっています。特に必修科目が多い学年ほど、CAP制の上限に近い単位数を履修することになりやすく、1科目のつまずきが翌年度以降の履修計画全体に波及しやすい点には注意が必要です。
GPAの仕組みや平均的な目安について詳しく知りたい方は、GPAとは何かを解説した記事も参考にしてください。 今回確認した立命館大学の情報理工学部のように、「2年次終了時点で卒業必要単位数を修得しなければ3年次に進級できない」という原級留置制度を学部の公式資料に明記している例もあります。このような制度がある学部では、1・2年次の必修科目でのつまずきが、そのまま留年に直結しやすくなります。
今回の公式データからは、次のような傾向が見えてきます。ただし、これは今回確認できた4大学の限られたデータから読み取れる傾向であり、すべての大学・学部に一般化できるものではない点にご留意ください。
大切なのは、「理系だから」「国際系だから」といった大まかなイメージだけで判断せず、自分が在籍する(志望する)学部・学科が、どのような進級要件を定めているかを、学生便覧やシラバス、教務課の案内で具体的に確認することです。
ここまでの制度理解を踏まえ、留年を避けるために一般的に有効とされる対策を整理します。
これらはいずれも、大学・学部を問わず一般的に有効とされる基本的な対策です。「必ず単位が取れる」「絶対に留年しない」といった保証はできませんが、早い段階で正しい情報にもとづいて行動することで、挽回できる可能性は大きく変わります。

大学別の留年率データを調べる際、あるいは自分自身の履修状況と照らし合わせる際に、陥りやすい失敗と注意点をまとめます。
前述のとおり、コホート追跡方式の数字(中央大学12.1%、法政大学13.6%)と、年次スナップショット方式の数字(同志社大学4.8%、立命館大学2.3%)を、そのまま「大きい・小さい」で比較してしまうのは典型的な誤りです。この記事で紹介した表を見返し、必ずどちらの方式のデータかを確認したうえで判断してください。
ケースA(コホート追跡方式の数字だけを見て不安になった例):志望する学部の「留年率13.6%」という数字だけを見て、10人に1人以上が留年する厳しい学部だと思い込んでいたところ、実はこれが入学から卒業までの4年間全体を通じた累積の数字であり、1年間だけを切り取った年次スナップショット方式に換算するとおおむね3〜4%程度の水準に相当することが分かった、というケースです。数字の大きさに反応する前に、その数字が「1年間の数字」なのか「在学期間全体の数字」なのかを確認するだけで、受け取る印象は大きく変わります。
ケースB(大学全体の数字だけで学部を判断した例):「◯◯大学は留年率が低いから安心」という理由だけで学部を選んだところ、実際に入学した学部は大学全体の平均よりも留年率が高い学部だった、というケースです。中央大学・法政大学のデータで見たとおり、同じ大学の中でも学部間の差は最大20ポイント近くに達します。大学全体の数字は参考程度にとどめ、学部・学科単位の数字を確認する習慣をつけることが重要です。
中央大学・法政大学のいずれも、学部間の留年率には2倍以上の差がありました。大学全体の合計値だけを見て安心・不安に思うのではなく、自分が在籍する(志望する)学部・学科の数字を個別に確認することが重要です。
検索結果には、算出方法や出典年度が明記されていない「留年率ランキング」も少なくありません。数字を見かけたら、必ず「いつの、どの集団を対象にした、どの算出方法によるデータか」を確認する習慣をつけましょう。出典が「大学公式サイト」「大学ポートレート」と明記されていない数字は、慎重に扱うべきです。
留年はあくまで「進級できずに同じ学年にとどまる」ことであり、学籍そのものはそのまま継続します。退学(自主的に学籍を離れる)や除籍(学費未納・在籍年限超過等により大学側が学籍を失わせる)とは制度上まったく異なります。除籍と退学の違いについて詳しく知りたい方は、別記事もあわせてご覧ください。 留年した段階でむやみに悲観する前に、まずは自分の状況が実際にどの制度に該当するのかを、教務課などで正確に確認することが大切です。
中央大学・法政大学の表にある「修業年限内卒業率」は、あくまで標準の年限(4年制なら4年)ちょうどで卒業できた学生の割合です。標準年限を1年超えて5年目で卒業した学生や、その後卒業した学生は、この数字には含まれず、留年率・退学率のいずれかにカウントされています。つまり、修業年限内卒業率が仮に70%台であっても、最終的にはもっと多くの学生が(標準年限より遅れて)卒業に至っている可能性があります。「修業年限内卒業率=最終的な卒業率」ではない点を混同しないよう注意してください。
レポートや課題の未提出・出来の悪さが留年の原因になっている場合、焦りから代行業者などに頼りたくなる気持ちが生まれることもあるかもしれません。しかし、レポートや課題の代行・代筆は多くの大学で学則違反にあたり、発覚した場合は停学等の重い処分の対象になり得ます。単位・進級サポートのような専門家に相談する場合も、代行ではなく、自分の力でレポートを完成させ、単位を取得できるようになるための指導を選ぶことが、長期的にはご自身のためになります。
ここまで紹介した公式データや進級要件の一般的な考え方を踏まえたうえで、「自分の場合はどう対策すればよいのかわからない」と感じたら、それが専門家に相談する一つのタイミングです。特に次のような状況にある場合は、早めの相談が選択肢を広げることにつながります。
これらは、いずれか1つでも当てはまれば相談する価値があるという意味であり、すべてに当てはまらないと相談してはいけないということではありません。「まだそこまで深刻ではない気がする」という段階でも、早めに現状を整理しておくことで、選べる対策の幅が広がります。
スプリング・オンライン家庭教師の単位・進級サポートでは、こうした不安を抱える大学生を対象に、まず現在の履修状況や単位の取得状況をうかがい、大学の進級要件に対して今どのくらいの位置にあるのかを一緒に整理する無料相談を行っています。具体的には、現在落としている(落としそうな)科目の洗い出し、それが必修科目かどうかの確認、大学が用意している救済制度の有無の確認といった基本的な現状整理から始め、そのうえで何をどの順番で取り組むべきかを一緒に考えます。相談の結果、大学の教務課・学生支援窓口をまず活用したほうがよいケースもあれば、レポート添削(1本19,800円)や単位・進級の個別指導(月4回36,000円)が向いているケースもあり、状況に応じて率直にお伝えします。代行は一切行わず、あくまでご自身の力で単位を取得できるようになるための指導という立場です。
なお、学部のカリキュラムそのものが自分に合っておらず、留年を繰り返す可能性が高いと感じる場合、今の大学で立て直す道だけでなく、大学編入という選択肢を視野に入れる学生もいます。編入は既に取得した単位を活かしながら別の大学の途中年次に入学できる正規の制度であり、学部・カリキュラムそのものが根本的に合わないと感じる場合の選択肢の一つとして知っておいて損はありません。ただし、これはあくまで数ある選択肢の一つであり、まずは今の大学での進級・卒業を目指すことが基本であることは付け加えておきます。
すでに在籍している学生だけでなく、これから受験を控えている高校生・保護者が本記事の情報をどう活用すればよいかについても触れておきます。
大学案内やオープンキャンパスでは、偏差値・就職実績・キャンパス環境などが前面に出やすく、進級要件や留年に関する情報は自分から調べない限り目に入りにくいものです。志望校が固まってきた段階で、次のような点を確認しておくと、入学後のミスマッチを減らせます。
特に理工系・医療系・情報系のように専門科目の積み上げが強い学部を志望する場合は、入学前の時点で進級要件の厳しさをある程度把握しておくことで、入学後の心構えや学習計画を立てやすくなります。また、複数の大学・学部を併願する場合、偏差値や知名度だけでなく、公表されている進級要件の厳しさも比較材料の一つに加えておくと、入学後の生活をより具体的にイメージしたうえで進学先を選びやすくなります。
保護者の立場からは、入学後に「留年率が高い学部だと知らなかった」という状況を避けるために、志望校選びの段階で一緒に公式データを確認しておくことが有効です。特に、進級要件が厳しい学部に進学する場合は、入学後の学習サポート体制(大学内のチューター制度、学部独自の補習等)がどの程度整っているかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。万が一、入学後に単位・進級面で不安が生じた場合の相談先(大学の窓口、外部の個別指導サービスなど)を事前に把握しておくことも、安心材料の一つになります。
A. 編集部が2026年8月時点で公式サイト・大学ポートレートを確認した範囲では、両大学とも他大学と同じ形式の「学部別留年率」を単純な一覧として読み取れる公表資料を特定できませんでした。慶應義塾大学は学部・学年別の留年者数(実数)を「KEIO HANDBOOK」で公表していますが、単純な比率換算にはなじまない集計形式です。最新の状況は各大学の公式サイト「教育情報の公表」ページで直接ご確認ください。
A. 算出方法が異なるためです。中央大学・法政大学は入学者集団を追跡する「コホート追跡方式」、同志社大学・立命館大学はある年度の在籍者を切り取る「年次スナップショット方式」を採用しており、在学期間全体を通じた累積の数字になる前者の方が、数字が大きくなりやすい傾向があります。算出方法が異なる数字同士の単純な大小比較はできません。
A. おすすめしません。今回確認した中央大学・法政大学では、同じ大学の中でも学部によって留年率に2倍以上の差がありました。理系・国際系・文系といった大まかな系統や大学の知名度だけで判断せず、学部・学科ごとの具体的な数字と、その学部が公表している進級要件の内容まで確認することが重要です。
A. 含まれません。立命館大学の公表資料には「留年者数は、修業年限を超えている者の数(休学をした者および長期履修制度適用者を除く)とした」と明記されています。休学による在学延長と、進級できずにとどまる留年とを明確に区別する定義になっている点は、他大学の資料を読む際にも参考になる視点です。
A. その可能性はありますが、断定はできません。留学プログラムによる修業年限の延長を「留年」に含めているケースなど、進級要件の厳しさ以外の要因が数字に影響している場合もあります。留年率という数字だけを見るのではなく、大学・学部が公表している原級留置制度や卒業要件の説明もあわせて確認することをおすすめします。
A. 出典・算出方法・対象年度が明記されていないランキングは、慎重に扱うことをおすすめします。本記事で紹介したとおり、同じ大学でも算出方法によって数字が4〜5倍変わることがあり、出典不明の数字を単純比較すると誤った印象を持ちかねません。数字を見かけたら、必ず「どの年度の、どの集団を対象にした、どの算出方法によるデータか」を確認する習慣をつけましょう。
A. 大学公式サイトの「教育情報の公表」ページ、または独立行政法人・大学改革支援学位授与機構が運営する大学ポートレート(私学版)で、標準修業年限内卒業率や在籍学生数・留年者数などの数値を確認できる場合があります。学部別の開示がない、あるいは非公表の場合は、教務課や学生支援センターに直接問い合わせるのが確実です。
A. まず、必修科目の中で不合格・未修得の単位を正確に洗い出し、大学の学生便覧やシラバスで進級要件を確認してください。そのうえで、再試験・追試験制度や単位の救済措置などの学内制度を教務課に確認し、対策の選択肢を早めに把握することが重要です。一人で判断が難しい場合は、単位・進級サポートのような専門家に相談することも選択肢の一つです。
早稲田・慶應・中央・法政・同志社・立命館という6つの難関私立大学について、公式データで確認できる範囲を整理すると、横並びで比較できる公式な留年率ランキングは存在せず、大学ごとに算出方法も対象年度もバラバラであることが改めて確認できました。中央大学・法政大学はコホート追跡方式で12〜14%程度、同志社大学・立命館大学は年次スナップショット方式で2〜5%程度という数字が公式に確認できましたが、これらを単純比較することはできません。早稲田大学・慶應義塾大学については、編集部が確認できた範囲で学部別の留年率を具体的な数値として示すことはできませんでした。
いずれの大学であっても共通して言えるのは、大学全体の数字よりも、自分が在籍する(志望する)学部・学科の進級要件と数字を具体的に確認することが重要だという点です。大学ポートレートや各大学の「教育情報の公表」ページは、噂やまとめサイトの数字よりもはるかに確実な一次情報です。まずはそこから確認する習慣をつけてください。
また、留年率が高めの学部だからといって、その学部が「悪い学部」というわけではありません。原級留置制度を明確に定めている学部は、進級要件を厳格に運用しているからこそ数字が高く見えているだけ、というケースも少なくないことを、本記事で紹介した公式データからも確認できました。数字の大小だけで一喜一憂するのではなく、自分の学部がどのような制度のもとで運用されているのかを正しく理解することが、結果的に留年を避ける近道になります。そのうえで、自分の履修状況について不安がある場合は、単位・進級サポートのような専門家に相談し、現状を客観的に整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
