
「医学部 留年率」と検索する方の多くは、すでに自分自身が単位を落としそう、あるいはお子さんが留年の危機にあるという、切実な状況に直面しているのではないでしょうか。結論からお伝えすると、医学部の進級は他学部と比べて明確に厳しい傾向にあります。これは印象論ではなく、文部科学省が公表している公式データからも裏付けられています。
文部科学省「医学部医学科における国家試験等の状況」によれば、2019年度(令和元年度)入学者を対象とした調査で、標準修業年限である6年間で卒業できた学生の割合(卒業率)は、国立大学87.9%・公立大学89.4%に対し、私立大学は81.2%にとどまっています。全大学計でも85.5%であり、単純計算すると医学部に入学した学生のおよそ7人に1人が、6年間ストレートでは卒業できていないことになります。
この記事では、医学部(医学科)の進級がなぜ厳しいとされるのか、その背景にある共用試験(CBT・OSCE)や進級判定の仕組み、特につまずきやすい学年・科目、そして留年した場合の学費負担の大きさまで、文部科学省の一次情報にもとづいて整理します。あわせて、進級・留年の危機に直面したときにどう立て直せばよいのか、具体的な対処法もお伝えします。なお、この記事で扱う統計は主に医師養成課程である医学部医学科(6年制)を対象としています。

この記事の要点を先にまとめます。詳しい内容は後の章で解説しますが、まず結論だけ知りたい方はここだけ読んでも全体像がつかめます。
本題に入る前に、まず医学部特有のカリキュラム構造と、進級判定の仕組みを整理しておきます。ここを理解しておくと、後の章で紹介する「進級が厳しい理由」の意味がより具体的につかめるようになります。
医学部医学科は、医師国家試験の受験資格を得るための6年制の課程です。他の多くの学部が4年制であるのに対し、医学部は在学期間そのものが長いうえ、カリキュラムの大部分を必修科目が占めているという特徴があります。おおまかな学年構成は次のとおりです(大学によって細部は異なります)。
| 学年の目安 | 主な内容 |
|---|---|
| 1年次 | 数学・物理学・化学・生物学・統計学などの教養科目、医学概論などの導入科目 |
| 2〜3年次 | 解剖学・生理学・生化学・薬理学・病理学・微生物学・免疫学などの基礎医学 |
| 3〜4年次 | 内科学・外科学・小児科学などの臨床医学の各科目、共用試験(CBT・Pre-CC OSCE)対策 |
| 5〜6年次 | 病院での臨床実習(クリニカルクラークシップ)、Post-CC OSCE、卒業試験、医師国家試験対策 |
薬学部・歯学部など他の6年制学部と同様、医学部も必修科目の比重が非常に高いという特徴があります。必修科目とは、卒業要件を満たすために必ず修得しなければならない科目のことです。必修科目の考え方や、他学部を含めた一般的な仕組みについては、姉妹記事の必修科目とはで詳しく解説しています。
同じ「医学部」という名称の学部でも、医学科のほかに保健学科・看護学科・検査技術科学科などを併設している大学は少なくありません。この記事で扱う進級率・卒業率・共用試験・卒業試験といった制度は、原則として医師国家試験の受験資格を得ることを目的とする医学科を前提としたものであり、同じ学部内であっても看護学科・保健学科などは修業年限(多くは4年)もカリキュラムの構造もまったく異なります。「医学部は留年率が高い」という情報に接した際、それが医学科を指しているのか、学部全体を指しているのかによって実態は大きく変わる点には注意が必要です。この記事で紹介する進級率・卒業率のデータも、原則として6年制の医学科を対象とした数字です。
医学部に限らず、多くの大学では学年ごとに「次の学年に進むための要件」を定めています。代表的なものは次のとおりです。
医学部では、この進級要件が学年ごとに細かく設定されており、「前の学年の必修科目をすべて修得していないと、次の学年の専門科目を履修できない」という積み上げ型のカリキュラム設計になっている大学が多いのが特徴です。これは、内科学や外科学といった臨床医学の科目が、解剖学や生理学などの基礎医学の知識を前提として組み立てられているためで、基礎が不十分なまま専門科目に進んでも理解が追いつかず、かえって留年のリスクを高めてしまうという教育上の判断にもとづいています。なお、多くの大学では1〜2回程度の再試験・追試験の機会が設けられていますが、それでも基準に届かなければ留年(原級留置)となるのが一般的です。再試験・追試験の一般的な仕組みについては、姉妹記事大学の再試験・追試とはもあわせて参考にしてください。
他学部の多くでは、単位を落とした科目だけを翌年度以降に個別に再履修すればよいケースが一般的ですが、医学部は必修科目の比重が高く、しかも学年ごとに履修できる科目があらかじめ決まっている積み上げ型のカリキュラムであるため、留年時の扱いも他学部とは異なる大学が少なくありません。落とした科目だけを再履修すればよい大学もある一方で、その学年に配当されている科目をすべて受け直す「原級留置」という形をとる大学もあります。取得済みの単位の扱いも大学によって差があり、既修得単位がそのまま有効になる大学もあれば、出席や再履修が必須とされる大学もあります。この違いは、留年した場合の1年間の負担感や、次年度以降のスケジュールの立てやすさに直結する重要なポイントです。自分の大学の留年時の単位認定ルールがどうなっているかは、成績に不安を感じた早い段階で、学則や履修要覧、教務課への確認を通じて把握しておくことを強くおすすめします。
医学部特有の関門としてよく話題になるのが、共用試験です。これは、学生が病院での参加型の臨床実習に進む前に、最低限必要な「知識」「技能」「態度」が備わっているかどうかを、全国統一の基準で評価する試験で、公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構(CATO)が実施しています。臨床実習前に実施される共用試験は、次の2種類で構成されています。
| 試験名 | 評価する内容 | 形式・基準の目安 |
|---|---|---|
| CBT(Computer Based Testing) | 医学の基礎知識 | コンピュータ上で解答する多肢選択形式の試験。2023年度からIRT標準スコア396(おおむね正答率65%前後に相当するとされる水準)が全国統一の合格基準として導入されました |
| Pre-CC OSCE(臨床実習前OSCE) | 医学の基本的な診察技能・態度 | 医療面接・身体診察などの複数の実技課題(ステーション)を、実際に手を動かして評価される実技試験 |
多くの大学では、CBT・Pre-CC OSCEの両方に合格しないと、臨床実習(病院での長期研修)に進むことができません。つまり、共用試験は実質的な進級・実習開始の関門として機能しているのです。共用試験に不合格だった場合、多くの大学で再試験の機会が用意されていますが、再試験の回数には限りがあり、それでも基準に届かなければ留年となるのが一般的です。かつては各大学が独自に合格基準を設定していましたが、2023年度以降はCBTについて全国統一の合格基準が導入され、大学ごとの判定のばらつきが小さくなる方向に制度改正が進んでいます。
CBTの出題形式をもう少し具体的に見ると、6ブロック・計320問という大きなボリュームが特徴です。このうち採点対象となるのは、あらかじめ実施・検証済みの「プール問題」のみで(その数はおおむね240問前後とされますが、年度によって変動があります)、残りは次年度以降の問題として蓄積するための新規作成問題であり、正誤が成績には反映されません。ただし受験者側からはどちらの問題かを判別できないため、実質的には320問すべてに全力で取り組む必要があります。採点方式にはIRT(項目反応理論)が採用されており、単純な正答数ではなく、「正答率の低い難しい問題に正解するほど高く評価される」という統計的な仕組みで学力を測定する点が、高校までの定期試験とは大きく異なります。
一方のPre-CC OSCEは、模擬患者やシミュレーターを相手に、医療面接・身体診察・基本的な手技(採血・血圧測定・心肺蘇生等)などの課題を、ステーションと呼ばれる複数の試験室を巡回しながら、5分・10分といった限られた時間内でこなす実技試験です。診断の正確さだけでなく、患者への配慮や声かけ、説明の分かりやすさといった態度面もあわせて評価されるため、知識偏重の対策だけでは通用しにくい点がCBTとの大きな違いです。CBT・Pre-CC OSCEのいずれも、年度内の決まった時期にしか実施されないため、一度不合格になった場合、再試験までの数週間〜数か月という限られた期間で弱点を補強しきれるかどうかが、そのまま進級・実習開始の可否に直結してしまいます。定期試験のように「次の学期でもう一度頑張る」という猶予が利きにくい点も、共用試験を医学部特有の重い関門たらしめている理由のひとつです。
医学部が薬学部など他の医療系学部と異なる点のひとつが、臨床実習後にも共用試験があることです。2020年度から正式に導入されたPost-CC OSCE(臨床実習後OSCE)は、臨床実習で学んだ内容を踏まえ、卒業・臨床研修開始が可能な水準の臨床能力を身につけているかを評価する実技試験です。これに合格できなければ、原則として卒業要件を満たすことができません。
さらに多くの大学では、Post-CC OSCEとは別に、大学独自の卒業試験を実施しています。卒業試験は医師国家試験の出題形式を模した筆記試験であることが多く、一部の大学では本番の国家試験よりも難易度が高く設定されているとも言われています。臨床実習・Post-CC OSCE・卒業試験・国家試験対策という複数の課題が5〜6年次に集中することが、医学部の最終学年に特有の負荷を生み出しています。この点については、次の章で進級率・卒業率のデータとあわせて詳しく見ていきます。
留年(原級留置)そのものの定義や、留年が確定する一般的な基準・時期については、大学生活全般を対象とした姉妹記事大学生の留年とはでも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。この記事では、医学部という学部系統に特有の事情に絞って掘り下げていきます。

ここからは、医学部の進級・卒業がどれくらい厳しいのか、文部科学省の公式データにもとづいて具体的に確認していきます。
文部科学省「医学部医学科における国家試験等の状況」では、2019年度(令和元年度)入学者を対象に、標準修業年限(6年)での「6年次進級率」(一度も留年せず最終学年まで進んだ割合)と「卒業率」が、設置者別に公表されています。まず6年次進級率です。
| 区分 | 入学者数 | 6年次在籍者数 | 6年次進級率 |
|---|---|---|---|
| 国立大学 | 4,931名 | 4,382名 | 88.9% |
| 公立大学 | 841名 | 760名 | 90.4% |
| 私立大学 | 3,679名 | 3,059名 | 83.1% |
| 全大学計 | 9,451名 | 8,201名 | 86.8% |
続いて、同じ入学年度における卒業率です。
| 区分 | 入学者数 | 卒業者数 | 卒業率 |
|---|---|---|---|
| 国立大学 | 4,931名 | 4,335名 | 87.9% |
| 公立大学 | 841名 | 752名 | 89.4% |
| 私立大学 | 3,679名 | 2,989名 | 81.2% |
| 全大学計 | 9,451名 | 8,076名 | 85.5% |
この卒業率の差は、純粋な留年だけでなく休学・退学も含んだ数字である点には注意が必要ですが、それでも「私立大学の医学部では、6年間で入学者の5人に1人近くが標準年限どおりには卒業できていない」という実態を示す一次情報として、大きな参考になります。国立・公立と私立の間には、進級率・卒業率のいずれでも5〜8ポイント程度の差が一貫して見られます。なお、大学生活全般における留年率データの読み方や、全学部を対象とした全国的な傾向については、姉妹記事の大学の留年率データまとめでも詳しく整理しています。医学部の進級判定は、大学の学部全体の傾向と比べても厳格な部類に入るとされており、両方の記事を読み比べることで「大学全体の傾向」と「医学部という学部系統特有の傾向」を立体的に理解できます。
医学部医学科の進級率・卒業率は、同じ「私立大学」というくくりの中でも大学ごとの差が非常に大きいのが実情です。文部科学省の公表データを見ると、卒業率が90%を超える私立大学がある一方で、60%台にとどまる大学も存在します。この差は、大学の優劣というより、各大学がどれだけ厳格に進級・卒業判定を運用しているか、また入学者の学力層がどの程度かといった要因が複合的に影響していると考えるのが妥当です。個別の大学名を挙げて断定的に比較することは本記事では避けますが、「医学部だから」と一括りにするのではなく、大学ごとの傾向にも大きな差があることは知っておいてよいでしょう。志望校選びの段階でこうした傾向を参考にすること自体は有益ですが、入学後の学生本人にとって重要なのは、在籍する大学の進級判定の運用実態を正確に把握し、その基準に照らして自分の現在地を客観視することです。「うちの大学は進級が厳しい方だから仕方ない」と諦めるのではなく、厳しい基準だからこそ早め早めの対策が効果を発揮しやすい、と捉え直すことが立て直しの第一歩になります。
前章で触れたとおり、医学部には臨床実習前のCBT・Pre-CC OSCEに加え、臨床実習後のPost-CC OSCE、そして大学独自の卒業試験という、複数の関門が最終学年である6年次に集中しています。医師国家試験の合格率は、受験予備校や教育情報サイトなどで大学の教育の質を示す指標のひとつとして取り上げられやすく、国家試験の合格が危ういと判断された学生について、卒業試験の基準を厳しく運用することで卒業を保留し、結果的に6年次留年とする大学が一定数あると指摘されることがあります。これはあくまで複数の教育情報サイト・予備校が指摘している傾向であり、個々の大学がどのような意図で卒業判定を運用しているかを本記事で断定することはできない点にはご留意ください。
実際に、第119回医師国家試験(令和7年3月実施)における新卒者の合格率(修業年限超過者を含む)を見ると、国立96.1%・公立96.5%・私立95.0%・全大学計95.7%と、いずれも高い水準でそろっています。一方、既卒者(過去に不合格を経験した受験生)を含めた全体の合格率は92.3%であり、新卒者だけの合格率より低くなる傾向があります。この差は、留年や国試不合格を経験した学生がその後どれだけ合格しやすいかという別の論点であり、「留年率が高い大学ほど国試合格率が低い」と単純に結びつけることはできません。むしろ、卒業試験を厳格に運用して国試合格の見込みが高い学生に絞って卒業させることで、結果的に卒業後の国試合格率を高く保っている大学もあると考えられ、留年率と国試合格率の関係は一律に語れるものではない、という点は誤解のないようお伝えしておきます。
文部科学省「今後の医学教育の在り方に関する検討会」の取りまとめなどを踏まえ、近年の医学教育では、低学年からの多様な臨床体験や、知識だけでなく実践力を重視するアウトカム基盤型教育(OBE)への転換が進められています。試験の点数のみで進級を判定するのではなく、実習を含めた学修過程全体を通じて到達度を評価する方向へと舵が切られつつあり、教育情報サイトの一部では、この改革によって従来以上に進級判定が厳格化していく可能性が指摘されています。制度改正の具体的な影響は大学によって異なるため断定はできませんが、「昔より進級が楽になっている」という前提で臨むのは危険であり、むしろ在学中を通じて計画的に学修を積み重ねる姿勢がこれまで以上に重要になっていくと考えられます。
医学部のカリキュラムの中でも、特に多くの学生がつまずきやすいとされる学年・科目群を、一般的な傾向として整理します。もちろん大学によってカリキュラムの詳細は異なりますが、多くの医学部でおおむね共通する傾向として参考にしてください。
1年次は、数学・物理学・化学・生物学・統計学といった教養科目と、医学概論などの導入科目を中心に学ぶ時期です。入試を突破してきた医学部生の多くは高校時代に理数科目を得意としていたはずですが、大学の教養課程は高校とは評価の仕組みが異なり、レポート・実験・出席なども評価対象に含まれることが少なくありません。「入試には受かったのに、大学の教養科目で単位を落として面食らう」というケースも一定数見られます。教養課程の科目の多くは必修に指定されていることが多く、ここでつまずくと早い段階で進級要件を満たせなくなってしまいます。特に、入試の科目選択によっては物理を選択せずに入学した学生が大学の物理学でつまずいたり、一人暮らしを始めたことによる生活リズムの乱れが出席不足につながったりするなど、学力面だけでなく生活面の変化が重なりやすい時期でもあります。
2年次以降は、解剖学・生理学・生化学・薬理学・病理学・微生物学・免疫学といった基礎医学科目が一気に増えます。中でも解剖学は、献体を用いた解剖実習をともなうことが多く、座学の暗記量に加えて、実習への出席と実習後のレポート作成という身体的・時間的な負担が重なる科目です。多くの情報源で、医学部の中で最も留年が多発する学年は2年次だとされているのは、この学習量の急激な増加と、実習の負荷が同時に押し寄せることが背景にあると考えられます。基礎医学の理解が浅いまま進級してしまうと、後の臨床医学の理解にも影響が及びやすく、一度のつまずきが複数科目に連鎖しやすい点も特徴です。大学によっては、臓器や疾患単位で複数科目を横断的に学ぶ「臓器別統合カリキュラム」を導入している場合もあり、従来の科目単位の学び方に慣れていると、かえって全体像をつかみにくいと感じる学生もいるようです。
基礎医学科目をもう少し具体的に見ると、解剖学は人体の肉眼的な構造を学ぶ「肉眼解剖学」、細胞・組織レベルの構造を顕微鏡で観察する「組織学」、受精から出生までの体の成り立ちを学ぶ「発生学」に大きく分かれ、覚えるべき骨・筋肉・血管・神経の名称だけでも膨大な数にのぼるといわれています。生理学は、解剖学で学んだ構造が実際にどのように機能するかを扱う科目で、循環器・呼吸器・腎臓・神経など臓器ごとに単元が分かれ、数式やグラフを用いた定量的な理解も求められる点が、暗記中心の解剖学とはやや異なる難しさを生んでいます。生化学は、体内で起きる代謝反応を分子レベルで追う科目で、抽象度が高く、暗記だけでなく反応経路そのものの理解を要する点でつまずく学生が多いとされます。これら3科目に加え、薬がどのように体に作用するかを学ぶ薬理学、病気の成り立ちを学ぶ病理学、感染症の原因となる病原体を扱う微生物学、生体防御の仕組みを学ぶ免疫学までを同時並行で履修しながら、それぞれの定期試験をクリアし続ける必要がある点が、2年次の負荷を特に重くしている要因です。
これらの科目に共通するのは、1科目あたりの試験範囲が非常に広く、暗記量だけでは対応しきれない「理解を伴う暗記」が求められる点です。さらに後に控える共用試験(CBT)では、これらの基礎医学科目を横断した統合的な出題がなされるため、定期試験をその場しのぎで乗り切ってきた学生ほど、4年次の共用試験対策の段階で知識の抜け漏れに気づき、苦しむ傾向があるといわれています。基礎医学の各科目を「単位さえ取れればよい」という発想で乗り切るのではなく、後の共用試験・臨床医学まで見据えて理解を積み上げていく姿勢が、医学部の2年次には特に求められます。
3年次以降は、内科学・外科学・小児科学・産婦人科学・精神医学など、臨床医学の各科目が次々と開講されます。この時期は、それまでに学んだ基礎医学の知識を臨床の文脈で捉え直す必要があり、暗記量に加えて臨床的な思考力も問われるようになります。4年次はさらに、それまでに学んだ内容を総復習しながら、共用試験(CBT・Pre-CC OSCE)に向けた対策を進める時期でもあります。この段階になって初めて「1〜3年次に学んだ内容の抜け漏れ」に気づくケースが多く、共用試験対策の模擬試験を受けてみて初めて自分の弱点を自覚する学生も少なくありません。3〜4年次は部活動の代替わりや後輩の指導など、学業以外の役割が増える時期と重なることも多く、時間配分の見直しを迫られる学生も見られます。臨床医学の各科目は、講義形式の定期試験に加えて、症例をもとにした記述問題を出題する大学もあり、単純な暗記だけでは対応しきれない出題も徐々に増えてきます。1〜2年次のうちに「覚える」学習に慣れきってしまっていると、こうした思考力重視の出題形式に戸惑う学生も一定数見られます。
共用試験を突破した後は、病院での長期の臨床実習(クリニカルクラークシップ、診療科をローテーションしながら実際の診療現場に参加する実習形式)、Post-CC OSCE、大学独自の卒業試験、そして医師国家試験対策という、複数の大きな課題を同時並行でこなす必要があります。臨床実習は平日日中に拘束されるため、実習期間中は自分のペースで学習時間を確保しにくく、実習後にまとめて卒業試験・国試対策に取り組む学生が多いのが実情です。前章で解説したとおり、医学部の卒業試験は国家試験本番よりも厳しく設定されていると言われることがあり、この最終関門で力尽きてしまう学生が一定数いることが、6年次留年が目立つ一因になっていると考えられます。臨床実習の診療科によって求められる予習内容や実習後のレポート量にも差があり、実習先の診療科との相性に学生が振り回されるケースもあるようです。
| 学年の目安 | 特につまずきやすいとされる科目・課題 | つまずきの主な要因 |
|---|---|---|
| 1年次 | 物理学・化学・生物学・数学などの教養科目 | 高校までとは異なる評価方式、レポート・実験の負荷 |
| 2年次 | 解剖学・生理学・生化学・薬理学 | 覚えるべき情報量の急増、解剖実習との時間的な両立の難しさ |
| 3〜4年次 | 臨床医学各科目、共用試験(CBT・Pre-CC OSCE)対策 | 1〜3年次の内容を横断的に問われる、臨床的思考への転換 |
| 5〜6年次 | 臨床実習、Post-CC OSCE、卒業試験、国試対策 | 4つの課題の並行負担、実習中の学習時間の確保の難しさ |
医学部の留年というと、学力面の難しさばかりが注目されがちですが、教育情報サイトや予備校が指摘する要因として見逃せないのがメンタル面の負荷です。特に低学年では、大学受験を「ゴール」として猛勉強してきた反動から、入学直後に緊張の糸が切れ、学習へのモチベーションを維持できなくなってしまう学生が一定数いるとされています。いわゆる燃え尽き症候群(バーンアウト)に近い状態で、講義への出席が徐々に減り、気づいたときには複数科目の単位を落としていた、というケースです。また、実家を離れて一人暮らしを始めた学生ほど、生活リズムの乱れや孤立感を抱えやすく、勉強の遅れを誰にも相談できないまま学期末を迎えてしまうことも少なくありません。医学部は同級生も皆優秀であることが多く、「自分だけができていない」という劣等感から余計に相談しづらくなってしまう、という心理的なハードルも指摘されています。学力面の対策と同じくらい、早期に「話せる相手」を確保しておくことが、留年を防ぐうえで実は重要な要素だといえます。
ここまでの内容を踏まえ、実際によく見られるつまずきのパターンを3つの典型例として整理します。自分の状況と照らし合わせながら読んでみてください。
単位の取り方そのものの基本(履修計画の立て方、必修と選択の違いなど)を今一度確認しておきたい場合は、姉妹記事の大学の単位の取り方も参考になります。医学部特有の負荷が重なる時期だからこそ、基本的な履修管理を徹底しておくことの重要性が増します。

医学部(特に私立)で留年した場合、他学部と比べて経済的な負担がより大きくなりやすいという事情があります。これは、6年制であるがゆえに在学期間が長く、かつ1年あたりの学費水準そのものが他学部より高いためです。この章では、文部科学省の公式データにもとづいて、その規模感を具体的に確認していきます。
文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によれば、私立大学の医歯系学部(医学部・歯学部)における初年度学生納付金(授業料・入学料・施設設備費等の合計)の平均は4,779,143円でした。この調査では医学部単体の数字は公表されておらず、歯学部を含む「医歯系学部」という区分での集計である点にはご留意ください。
| 区分 | 初年度学生納付金等の平均(令和7年度入学者) |
|---|---|
| 私立大学 全学部平均 | 1,507,647円 |
| 私立大学 文科系学部平均 | 1,212,235円 |
| 私立大学 理科系学部平均 | 1,602,053円 |
| 私立大学 医歯系学部平均 | 4,779,143円 |
この表からわかるとおり、医歯系学部の初年度納付金は、私立大学全学部平均の3倍以上、理科系学部の平均と比べても約3倍という水準にあります。実験実習・臨床実習を伴う科目が多いことが、施設設備費や実験実習料の水準に反映されていると考えられます。
私立医学部6年間の学費総額について、文部科学省は年度ごとの内訳を公表していませんが、複数の医学部予備校・教育情報サイトが独自に集計した目安として、大学により1,850万円程度から4,500万円超まで幅があるとされています(こうした民間サイトの集計は公式統計ではないため、あくまで参考値として捉えてください。実際の金額は大学・学年・特待生制度の有無などによって大きく変動します)。近年は学費の値下げに踏み切る私立医学部も見られる一方、学費水準を引き上げる大学もあり、6年間総額の大学間の差はむしろ拡大傾向にあるとも指摘されています。志望校選びの段階では、初年度納付金だけでなく6年間の総額、特待生制度・地域枠制度の有無まで含めて確認しておくことが望ましいでしょう。
一方、国立大学の授業料・入学料は文部科学省令で標準額が定められており、標準額どおりであれば授業料は年間535,800円、入学料は282,000円です。6年間ではおよそ350万円程度(535,800円×6年+282,000円=3,496,800円)にとどまります。私立大学の医歯系学部と比較すると、6年間の総額で5倍から10倍以上の差が生じるケースもあり、医学部における国立・私立の学費差は、他学部以上に大きく開く傾向があることがわかります。
国立大学の場合、留年しても入学料が再度発生するわけではないため、標準額ベースで見た追加負担はおおむね年間54万円弱(授業料535,800円)が目安になります。これは国立大学であればどの学部でも大きくは変わらない水準です。
一方、私立大学の医歯系学部で1年留年した場合、上記の初年度納付金(477万9,143円)から入学料相当分を差し引いた水準が毎年続くと単純に仮定すると、留年1年あたりの追加負担はおおむね300万円台〜400万円台になり得ると試算されます。実験実習費・臨床実習関連費用の水準は学年や大学によって差が大きいため、この試算はあくまで目安であり、正確な金額は在籍する大学の学費規程を確認する必要があります。いずれにせよ、私立医学部の留年1年あたりの負担は、私立大学全体の平均(年間100万円台前半が目安)と比べても著しく重く、6年制という在学期間の長さと合わせて、経済的なインパクトが特に大きい学部だといえます。
留年が1年で済まず、複数年に及んだ場合の負担感を、私立・国立それぞれで大まかに整理すると次のようになります(いずれも標準額・平均額をもとにした概算の目安であり、実際の金額は大学・学年により大きく異なります)。
| 留年期間 | 国立(標準額ベースの目安) | 私立医歯系学部(平均額ベースの目安) |
|---|---|---|
| 留年なし(6年ストレート) | 約350万円 | 1,850万円〜4,500万円超 |
| 1年留年(7年在学) | 約400万円前後 | おおむね数百万円の上乗せ |
| 2年留年(8年在学) | 約450万円前後 | おおむね1年留年時のさらに倍近い上乗せ |
国立大学であれば1年あたりの追加負担は授業料相当額にとどまるため、複数年留年しても総額への影響は限定的です。一方、私立医歯系学部は1年あたりの追加負担そのものが大きいため、留年が長引くほど総額への影響も加速度的に大きくなっていきます。この構造の違いも、私立医学部で「早期の立て直し」が特に重視される理由のひとつです。留年と学費の一般的な関係については、姉妹記事の留年すると学費はどれくらい増えるのかでも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
留年によって修得単位数やGPAが一定基準を下回ると、日本学生支援機構の奨学金などが停止・廃止の対象となる場合があります。医学部は在学期間が長く、奨学金や教育ローンへの依存度が他学部より高い家庭も少なくないため、留年が確定的になった段階で、早めに大学の奨学金窓口に相談しておくことが重要です。特に、都道府県の地域枠制度や大学独自の奨学金制度を利用して入学した学生の場合、成績や修業年限に関する条件が付されていることがあり、留年によって奨学金の継続や返還義務の扱いが変わる可能性もあります。地域枠・奨学金付き入学制度を利用している場合は、一般的な学生以上に早めの確認が欠かせません。
なお、私立医学部の中には、卒業後に特定の地域・診療科で一定期間勤務することを条件に学費の一部または全額が免除・貸与される「地域枠」や、大学独自の特待生・修学資金制度を設けているところもあります。こうした制度は在学中の成績条件が付されている場合が多く、留年によって条件を満たせなくなると、免除・貸与が取り消されるリスクもあります。地域枠や特待生制度を利用している場合は、留年が学費面にどう影響するかを、通常の奨学金以上に早い段階で確認しておくことをおすすめします。留年と奨学金の関係については姉妹記事留年すると奨学金はどうなるのかで、保護者への伝え方については留年した子への親の対応で、それぞれ詳しく整理していますので、経済的な不安がある場合はあわせて参考にしてください。
医学部の学生・保護者が、進級・留年をめぐって陥りやすい失敗パターンを整理しました。自分に当てはまっていないか、チェックリストとして活用してください。
ここまで、医学部の進級が厳しいとされる理由や、つまずきやすい学年・科目、留年時の学費負担について解説してきました。最後に、「どのタイミングで専門家への相談を検討すべきか」という判断基準をお伝えします。
次のいずれかに当てはまる場合は、大学内の相談窓口だけでなく、外部の専門家への相談も検討する価値があります。
実際にご相談をいただく際によくある状況を、パターンとして整理すると次のようなものが挙げられます。あくまで一般的な傾向としての紹介であり、個別の成果を保証するものではありませんが、ご自身の状況と照らし合わせる参考にしてください。
スプリング・オンライン家庭教師の単位・進級サポートでは、医学部の学生を対象に、教養課程(数学・物理・化学・生物・統計学等)の基礎固めを中心とした個別指導を行っています。解剖学・生化学・薬理学などの基礎医学専門科目や、臨床医学以降の内容については、指導内容や講師の専門性によって対応可否が変わるため、まずは無料相談でご相談内容をうかがったうえで、対応の可否や進め方を率直にお伝えする形をとっています。
| こんな状態の方に | 無料相談でできること |
|---|---|
| 1年次の物理・化学・生物・数学等でつまずいている | 現在の理解度をヒアリングし、教養課程の基礎固めのための個別指導が可能かどうかをご案内 |
| 基礎医学(解剖学・生化学等)の対策に悩んでいる | 専門科目への対応可否を含め、状況に応じた現実的な選択肢(大学のチューター制度の活用等)をご提案 |
| 留年が確定的で、今後の学費・学修計画に不安がある | 現在の履修状況や経済的な状況を踏まえ、優先して取り組むべきことを一緒に整理 |
相談から利用開始までの流れは、おおむね次のようになります。
なお、私たちはレポート・課題の代筆や代行は一切行っておらず、本人が理解し、本人の力で単位を積み上げていくための伴走に徹しています。「必ず進級できる」「絶対に留年しない」といった成果を保証するものではありませんが、基礎の立て直しから一緒に取り組むことで、次の関門に向けた土台をつくるお手伝いができます。
なお、6年間という長い在学期間や、積み上げ型のカリキュラムそのものが自分に合わないと感じ、学部・大学を変える選択肢を検討する学生もまれにいます。既に取得した単位を活かしながら別の大学の途中年次に入学できる大学編入という選択肢も、数ある進路の一つとして存在はしますが、医師国家試験の受験資格は6年制医学部の卒業が前提となるため、進路変更を検討する際は資格取得の見通しへの影響も含めて慎重に判断する必要があります。まずは今の大学での進級・立て直しを目指すことが基本である点は、あらためて付け加えておきます。

A. 文部科学省が「留年率」という単一の統計を公式に発表しているわけではありませんが、関連する公式データとして、2019年度入学者を対象とした調査では、標準修業年限6年での卒業率は国立87.9%・公立89.4%・私立81.2%・全大学計85.5%でした。私立大学では約5人に1人が標準の6年間で卒業できていない計算になりますが、これは留年に加え休学・退学も含む数字であり、大学・年度によって差があります。
A. 文部科学省の同調査では、6年次進級率(留年せず最終学年まで進んだ割合)が、2019年度入学者ベースで国立88.9%・公立90.4%・私立83.1%と公表されています。卒業率も含めて、国立・公立と私立の間には5〜8ポイント程度の差が一貫して見られます。
A. 全国統一の公式データがあるわけではありませんが、一般的には解剖学・生理学・生化学などの基礎医学科目が本格化する2年次が、最も留年が多いとされる学年です。基礎医学でのつまずきが後の臨床医学の理解にも影響するため、教育関係者の間でも2年次の重要性が特に強調される傾向があります。
A. 多くの大学では、CBTとPre-CC OSCEの両方に合格しないと臨床実習に進めず、また臨床実習後もPost-CC OSCEに合格しないと卒業できない仕組みになっています。再試験の機会はあるものの、それでも基準に届かない場合は留年となるのが一般的です。ただし具体的な運用は大学によって異なるため、詳細は在籍する大学の学則・履修要覧、または教務課への確認が確実です。
A. 文部科学省の調査では、私立大学の医歯系学部の初年度学生納付金(授業料・入学料・施設設備費等の合計)は平均477万9,143円でした。入学料は留年時には再度発生しないため、留年1年あたりの追加負担はおおむね300万円台〜400万円台になり得ると試算されます。国立大学の場合は標準額ベースで年間54万円弱が目安です。
A. 医学部には臨床実習前のCBT・Pre-CC OSCEに加え、臨床実習後のPost-CC OSCE、そして大学独自の卒業試験という複数の関門が最終学年に集中しています。医師国家試験の合格が危ういと判断された学生について、卒業試験の基準を厳しく運用することで卒業を保留し、結果的に6年次留年とする大学が一定数あると指摘されることがありますが、個々の大学の意図を断定することはできません。
A. 「留年率が高い大学ほど国試合格率が低い」と単純に結びつけることはできません。第119回医師国家試験の新卒合格率は国立96.1%・公立96.5%・私立95.0%と、いずれも高水準でそろっています。むしろ卒業試験を厳格に運用して合格見込みの高い学生に絞って卒業させることで、結果的に国試合格率を高く保っている大学もあると考えられ、両者の関係は一律には語れません。
A. できるだけ早い段階、具体的には成績や単位の修得状況に不安を感じた時点での相談をおすすめします。留年が確定してから相談すると、取れる対策の選択肢がかなり限られてしまいます。特に1年次の教養科目でつまずいている段階であれば、その後の基礎医学・臨床医学への影響を最小限に抑えられる可能性が高まります。
{“@context”:”https://schema.org”,”@graph”:[{“@type”:”FAQPage”,”mainEntity”:[ {“@type”:”Question”,”name”:”医学部の留年率は具体的に何%ですか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”文部科学省が「留年率」という単一の統計を公式に発表しているわけではありませんが、関連する公式データとして、2019年度入学者を対象とした調査では、標準修業年限6年での卒業率は国立87.9%・公立89.4%・私立81.2%・全大学計85.5%でした。私立大学では約5人に1人が標準の6年間で卒業できていない計算になりますが、これは留年に加え休学・退学も含む数字であり、大学・年度によって差があります。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”国立と私立で医学部の進級率はどれくらい違いますか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”文部科学省の同調査では、6年次進級率(留年せず最終学年まで進んだ割合)が、2019年度入学者ベースで国立88.9%・公立90.4%・私立83.1%と公表されています。卒業率も含めて、国立・公立と私立の間には5〜8ポイント程度の差が一貫して見られます。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”医学部で一番留年しやすい学年はどこですか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”全国統一の公式データがあるわけではありませんが、一般的には解剖学・生理学・生化学などの基礎医学科目が本格化する2年次が、最も留年が多いとされる学年です。基礎医学でのつまずきが後の臨床医学の理解にも影響するため、教育関係者の間でも2年次の重要性が特に強調される傾向があります。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”CBTやOSCEに不合格だと必ず留年になりますか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”多くの大学では、CBTとPre-CC OSCEの両方に合格しないと臨床実習に進めず、また臨床実習後もPost-CC OSCEに合格しないと卒業できない仕組みになっています。再試験の機会はあるものの、それでも基準に届かない場合は留年となるのが一般的です。ただし具体的な運用は大学によって異なるため、詳細は在籍する大学の学則・履修要覧、または教務課への確認が確実です。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”医学部で留年すると学費はいくら増えますか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”文部科学省の調査では、私立大学の医歯系学部の初年度学生納付金(授業料・入学料・施設設備費等の合計)は平均477万9,143円でした。入学料は留年時には再度発生しないため、留年1年あたりの追加負担はおおむね300万円台〜400万円台になり得ると試算されます。国立大学の場合は標準額ベースで年間54万円弱が目安です。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”6年次に留年する人が多いのはなぜですか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”医学部には臨床実習前のCBT・Pre-CC OSCEに加え、臨床実習後のPost-CC OSCE、そして大学独自の卒業試験という複数の関門が最終学年に集中しています。医師国家試験の合格が危ういと判断された学生について、卒業試験の基準を厳しく運用することで卒業を保留し、結果的に6年次留年とする大学が一定数あると指摘されることがありますが、個々の大学の意図を断定することはできません。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”医学部の留年は医師国家試験の合格率に影響しますか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”「留年率が高い大学ほど国試合格率が低い」と単純に結びつけることはできません。第119回医師国家試験の新卒合格率は国立96.1%・公立96.5%・私立95.0%と、いずれも高水準でそろっています。むしろ卒業試験を厳格に運用して合格見込みの高い学生に絞って卒業させることで、結果的に国試合格率を高く保っている大学もあると考えられ、両者の関係は一律には語れません。”}}, {“@type”:”Question”,”name”:”留年しそうな場合、いつ専門家に相談すればよいですか?”,”acceptedAnswer”:{“@type”:”Answer”,”text”:”できるだけ早い段階、具体的には成績や単位の修得状況に不安を感じた時点での相談をおすすめします。留年が確定してから相談すると、取れる対策の選択肢がかなり限られてしまいます。特に1年次の教養科目でつまずいている段階であれば、その後の基礎医学・臨床医学への影響を最小限に抑えられる可能性が高まります。”}} ]}]}「医学部 留年率」というキーワードの背景には、確かな根拠があります。文部科学省「医学部医学科における国家試験等の状況」によれば、標準修業年限6年での卒業率は、私立大学が国立・公立大学よりも一貫して低い水準にあり、2019年度入学者ベースで見ると国立87.9%・公立89.4%に対し私立81.2%という差が確認できます。この背景には、基礎医学の学習量の多さ、積み上げ型のカリキュラム、共用試験(CBT・Pre-CC OSCE・Post-CC OSCE)、そして各大学の進級・卒業判定の厳格な運用という複数の要因が重なっています。
特につまずきやすいのは、2年次以降本格化する解剖学・生理学・生化学などの基礎医学科目です。基礎医学でのつまずきが後の臨床医学にも連鎖しやすいという医学部特有の構造を理解したうえで、早めに立て直しに着手することが何より重要です。また、私立大学の医学部は学費の総額も極めて高額であり、留年した場合の経済的なインパクトは他学部より大きくなりやすい点も、早期の対策を後押しする理由のひとつです。
留年率が高い=劣った教育というわけではなく、多くの場合は医師国家試験の合格率や、臨床研修に送り出す学生の質を担保するための、厳格な進級・卒業判定の結果でもあります。とはいえ、目の前の自分自身にとっては、進級・留年の不安は切実な問題です。特に医学部は6年間という在学期間の長さと、私立であれば突出して高い学費が重なるため、一度のつまずきを放置した場合の負担が他学部よりも大きくなりやすい点は、繰り返し強調しておきたいポイントです。
基礎科目でのつまずきを感じたら、一人や家族だけで抱え込まず、大学のチューター制度や教務課の相談窓口をまず確認してください。そのうえで、単位・進級サポートのような外部の専門家の力も選択肢に入れながら、早めに立て直しの一歩を踏み出してみてください。